相続前でもすぐにわかる!田舎の土地価格を調べる方法
土地の価格はどうやって決まるのか?
土地の価格は基本的に売り主と買い主の交渉と同意によって、売買価格が決まることになります。土地は工業製品ではないので、メーカーの存在や定価といった価格の目安がなく、交渉して価格を決めていくことになるわけです。
市街地や住宅地であれば活発に土地の売買が行われているので、過去の取引価格に基づいて地価の相場が決まります。これに対して普段からあまり取引が行われていない田舎の土地の価格は、過去の取引価格を参考にすることができません。
田舎の土地の査定額は、
- 最寄駅からのアクセス
- 土地の形状
- 法規制の有無
- 固定資産税算定の際の評価額
などを基準にして決められます。
また同じ立地であったとしても用途に応じて査定額に大きな差が出ることがあります。土地の用途(地目)を大きく分けると、住居系・商業系・工業系の3種類があります。
一般的に土地の査定額は用途が広いと高くなりますが、農地のように使い道が限定されていると低くなります。具体的には最も用途が広い商業系が最も高く、住居系・工業系と続きます。
田舎の土地で農地として取引をする場合には、農作物を育てやすい条件が整っているほうが高くなります。農作物を育てやすい条件には、日照量・土の種類・排水路の有無・周辺の道路状況・市街地への交通アクセスの利便性、などです。
ただし最近は農業の後継者が不足している影響で農地の需要が低迷しており、田畑の価格は下落傾向が続いています。
土地の価格を調べる方法
地方都市や田舎の土地は不動産取引が行われる頻度が低く、過去の取引価格を参考にしにくいという問題があります。それでも農地などを売却したり、相続が発生しそうな時は、事前に価格を調べておく必要があります。
国土交通省が公開している取引価格情報を調べる
土地の価格(実勢価格)を調べる場合は、過去に近隣で行われた土地取引の実績を参考にする方法が一般的です。土地総合情報システムは誰でも無料で利用できますから、地域ごとの土地価格を知るのに役立ちます。
田舎の土地の場合はかなり離れた場所の取引データを参考にすることになってしまうかもしれませんが、過去の実績に交通アクセスやその他の条件を加味して相場の目安を判断することができるでしょう。
国土交通省 土地総合情報システム Land General Information System
固定資産税評価額から算出する
地主の方であれば毎年固定資産税の納税通知書が届くので、固定資産税評価額であれば簡単に知ることができます。
一般的に不動産会社を通して土地の売買が行われる場合は、固定資産税評価額に対して1.4倍前後の価格で取引が成立するケースが多いです。例えば固定資産税評価額が1000万円だと、相場の目安は1400万円前後となります。
相続税路線価を調べる
相続税路線価は他人の土地の価格を知りたい場合に有益です。相続税路線価は不動産会社も参照する情報ですので信頼性が高く、査定額の評価や価格交渉のヒントにもなります。
国税庁のWEBサイトで最新情報が公開されているので、地域を選び路線価図を選択して、更に絞り込んでいけば相続税路線価が分かります。
地価公示&地価調査を調べる
地価公示や地価調査は、全国にある2万以上のポイントの地価が分かる情報で、調べたい土地のエリアの価格が分かります。
ただし過去の取引価格はあくまでも参考情報に過ぎず、実際の売買で同様の価格になるという保証はありませんので他の情報と合わせて確認しましょう。
土地価格を事前に知っておくメリット
土地価格(実勢価格)のデータは不動産会社などを通して売買取引を行う際に使用するためのものなの、土地を売却しない人にとっては調べても意味がないように思えるかもしれません。
しかし、すぐに土地を売却するつもりがなくても自分が所有する土地価格を事前に知っておくことによるメリットはあります。
土地を売却するケースでは
例えば、予期せず相続が発生したり、急にお金が必要になって土地を売却しなければならなくなるケースがあります。土地価格の相場を知らずに買い手を探すと、実際の価値よりも低い価格で売却してしまうケースが少なくありません。
事前に大雑把でも土地価格の相場を把握しておけば、適正な価格で売却することができます。
農地を所有していて実際には耕作を行っていない遊休地をお持ちの方であれば、売却に備えて地目変更の手続きを行って土地の評価額を上げておくことができるかもしれません。
土地の売却をしないとしても、急に多額のお金が必要になった時に不動産担保ローンを利用すれば低金利で融資を受けることができます。
あらかじめ自分の所有する土地価格を事前に知っておけば、土地を担保に入れてローンを利用する際に有利な条件でお金を借りることができるというメリットがあります。
土地を購入したいケースでは
購入時には予算に合わせてエリアを絞り込んだり、購入を検討する土地のリストアップに役立てられます。
土地は高価で簡単に買い直せるものではありませんから、検討に検討を重ねて慎重に購入を考えるくらいが丁度良いです。検討にはやはり、価格を算出するヒントが不可欠ですし、参考になる価格が分からないことには土地購入を検討するのも難しいです。
その為、土地価格を事前に知っておくのはメリットどころか、むしろ知らないデメリットの方が問題になってしまいます。土地に限らず価格交渉は参考情報ありきですし、ヒントがなければ手探りで交渉を進めることになってしまい、中々話がまとまらないこともあるでしょう。
早く売りたいのにいつまで経っても売れない、あるいは欲しい土地があるのに価格が定まらず買えない、そういう事態を防ぐ為にも参考になる土地価格は重要です。
まとめ
農地などの土地を所有していてすぐに売却する予定のない方でも、不動産担保ローンや売却などに備えて土地の価格を把握しておくことが大切です。
近隣で土地取引の実績のほとんどない地方の田舎であれば、役所が算出するいくつかの土地価格を参考にして大まかな相場を把握することができるでしょう。土地価格について不動産会社に相談をして相場を調べておけば、いざという時に適正な相場でスムーズに売却手続きを進めることができます。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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2006年高校卒業後、大手上場不動産株式会社に営業として入社。土地の仕入、売却それぞれの部署で営業を経験し、エリアマネージャーを務める。
会社の経営に携わる中で、もっと地元に寄り添った形で人々の役に立ちたいと考えるようになり、独立を決意。自身のビジョンに共感してくれた仲間と共に2018年9月にスカイエステート株式会社を起業した。
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