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農地評価に隠された罠!?正しく農地の相続税を計算しよう

農地評価に隠された罠!?正しく農地の相続税を計算

 

 

農地の相続税評価額を計算する方法

 

農地には様々な評価基準があり、単純に場所や広さだけで判断することができません。多くの要素が複雑に絡み合うので、価値を正しく判断するのは難しいです。

純農地及び中間農地なのか、市街地農地なのかという点でも大きく変わりますし、生産緑地なのかという点でも評価は大きく変わります。農地の評価方法をしっかり理解しておけば、評価額を意図的に下げることも可能です。評価額が下がれば相続税も下がるので、納める税金を節約することが可能になります。

 

農地区分と評価方法:

農地区分 評価方法
純農地・中間農地 倍率方式
市街地農地 宅地比準方式または倍率方式
市街地周辺農地 その農地が市街地農地であるとした場合の価額×80%

 

倍率方式

純農地や中間農地に使用する倍率方式の計算方法はシンプルです。農地の相続税評価額は固定資産税評価額と倍率をかければ算出することができます。

 

【評価対象農地の固定資産税評価額】×【評価倍率】

 

倍率は国税庁のホームページにある評価倍率表というもので知ることができます。

財産評価基準書|国税庁

 

宅地比準方式

田や畑の評価額は宅地よりも低くなる傾向にあります。市街地にある農地は宅地の基準で評価額が算出されていることがあり、相続税が高くなることがあるので要注意です。

 

(【その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額】

-【1平方メートル当たりの造成費の金額】)×地積

 

上記算式の「その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額」は、具体的には、路線価または隣接する宅地の評価額をもとにして計算します。

 

 

農地の相続なら知っておきたい「納税猶予」

 

農地の相続をする前に知っておきたいポイントはたくさんあります。特に大きな農家の場合、この相続がかなり大きな問題になることが多く、損をしている農家もたくさん存在します。

 

農林水産省が求めている要件を満たすことができれば、納税猶予制度を利用して相続税の実質的な免除を受けることができます。

 

納税猶予の要件

 

①対象の農地

まず、対象になるのは農業用の土地だけです。

採草牧草地や準農地なども含まれるので、まずは自分の農地のことをしっかりと理解する必要があります。耕作や畜産の事業のために使っている土地でもOKです。

準農地は10年以内に農地または採草放牧地として使われていて、市町村長の証明があれば認められます。

 

②納税猶予の期間

納税が猶予される期限にも細かい決まりがあるので、しっかりと把握しておく必要があります。

市街地区地域内の生産緑地であれば、納税猶予期間は相続人が死亡するまでになります。

農業振興地域や調整地区の場合は申告期限から20年経過するか、相続人が死亡したタイミングまでです。

上記の農地の両方を所有している場合は、相続人が死亡するまでが納税猶予期間になり、実質的な免除となっています。

 

③納税猶予の手続き

農地の納税猶予を受けるための手続きは、各市区町村農業委員会が発行している証明書が必要です。この証明書は申し込まないともらえないので、納税猶予を考えているのであれば事前に申し込みを済ませておくのがおすすめです。

証明書の準備ができたら相続税の申告期限内に税務署に連絡をします。農地の納税猶予特例を利用したいということを最寄りの税務署に伝えればOKです。

相続税の納税猶予に関する適格者証明願を提出する必要があり、提出後は農業委員会によって現地調査が行われます。その後は相続税および贈与税の納税猶予に関する適格者証明書を税務署に提出して、納税猶予の申告は完了します。

 

④納税猶予が終了する場合

下記の場合は猶予されていた分と利子を含めた相続税を支払わないといけません。

農業をやめた場合

・農地を放棄、譲渡、貸付、転用した場合

・特定生産緑地の指定が解除された場合

などこれら以外にも要件がありますが、詳しくは下記の国税庁のページにてご確認ください。

農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例|国税庁

 

 

農地評価に隠されている罠

 

農地評価には知らないと損するケースが2つあります。

 

相続税評価額が異なるケース

一つ目は、固定資産税評価額は低いのに、相続税評価額だと高くなることがあるということです。

毎年5月頃に固定資産税の納税通知書が届くはずなので、まずはこの固定資産税の納税通知書をチェックしてみてください。

 

納税通知書の例:

宅地(自宅) 150㎡  評価額 15,000,000円
1,000㎡ 評価額 300,000円

 

固定資産税の納税通知書には所有している不動産の評価額等が記載されているのですが、農地に関しては宅地と比較してかなり低くなりがちです。

もしもこの農地が市街地の中にあり、自宅に隣接していた場合、この低い評価額を適用して相続税を計算していると、実際に負担額との差に驚いてしまうかもしれません。

実は、市街地にある農地は宅地に準じた相続税評価額になることが多いのです。

 

上記の例の場合、相続税評価額はこのようになります。

宅地(自宅) 150㎡  評価額 15,000,000円
1,000㎡ 評価額 100,000,000円

 

市街地農地は固定資産税評価額と相続税評価額に大きな差が生まれることがあるので、損をしないためにも必ず事前に確認しておくことが大事です。

 

相続税の減額要素を適用していないケース

もう一つは減額できる可能性があるのにも関わらず、知らずに多く税金を納めてしまうケースです。

実は農地には以下のような減額要素があります。

 

・宅地造成費の控除

農地の場合は宅地造成費を控除して評価することができるので、忘れずに適用させておいた方が良いです。控除される金額については国税庁のホームページなどで確認することができます。

財産評価基準書|国税庁

・市街地周辺農地の評価減

市街地の場合は評価を下げることが可能です。市街地として認められた場合は大体80%の金額に下げることが可能です。

・地積規模の大きな宅地の評価減

三大都市圏であり一定の要件を満たせば評価減が可能です。また宅地ではない土地でも市街地農地であれば適用されるかもしれませんので、忘れずに確認しましょう。

・貸し付けられている農地の評価減

貸し付けられている農地も権利の内容によって減額要素になるので、内容をしっかりと把握しておくべきです。農業委員会に確認することで契約の内容を把握することができます。

・生産緑地の評価減

生産緑地に指定されている場合も減額が可能です。指定されているかどうかは役所に確認することが一番確実ですので、事前に調べておきましょう。

 

これらを知らずに適用申請を行っていないと、大きな損をしてしまいます。

実際、多くの人が相談に乗っていた時もほとんどの人が減額要素を知らず、本当は払わなくてもよかった分まで相続税をすでに支払っていました。

 

このようなことがないように農地の相続が決まった、もしくは決まるかもしれない際は事前に正しい相続税を計算して確認しておくことをおすすめします。

 

投稿者プロフィール

山田 祐生
山田 祐生代表取締役
2006年高校卒業後、大手上場不動産株式会社に営業として入社。土地の仕入、売却それぞれの部署で営業を経験し、エリアマネージャーを務める。
会社の経営に携わる中で、もっと地元に寄り添った形で人々の役に立ちたいと考えるようになり、独立を決意。自身のビジョンに共感してくれた仲間と共に2018年9月にスカイエステート株式会社を起業した。